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ばく の音楽活動と日常を綴るブログ since August,2003
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「お兄ちゃんの行ってる学校へ僕も行く。」のひとことで、
僕は6才という年齢にもかかわらず、ひとりK市から東京の大井町まで
電車通学をすることになる。なんという無謀なことを、と思う。
それを許した親も大したものだと思う。
 当時は、いわゆる「越境入学」というのが、普通に存在していて、
僕も品川区の知人の家に住民登録をしていたという事らしいのだが、
それにしても、この通学距離は、非常識且つ危険極まりないと思うわけで、
延長距離的に「学校一」であった事は疑う余地がないだろう。
しかも、実際は僕が小学校へ入学した年に、兄貴はそこを卒業して、
中学校へ進学している。通う地域こそ一緒だが、そういう意味では
決して面倒見の良い兄貴ではなかったから、手を取り合って
ラッシュアワー時の電車に乗ったなんて事は、まずもってない。
 昭和30年代の後半といえば、日本は高度成長期を迎える頃であり、
急速な人口増加や都市化に、インフラはじめ交通環境の整備が
間に合わず、世界一のラッシュアワーとなって出現した時代である。
そこへ、身長140センチもあるかないかのランドセルを背負った坊主が、
大人の間で、もみくちゃになって乗っているわけだ。
自分の息子のことを想像すると、何度も言うようで申し訳ないが、
それを許した親も親だと思ってしまう。
 電車とバスを乗り継ぐこと約一時間。
目指す小学校へ辿り着くのだが、これがごく普通の公立校。
もっとも、当時区内では「品川の学習院」と評判の歴史ある公立校で、
最近になってこそ落ち着いたものの、
それでもいまだに、先進的でちょっとは知られた学校らしい。
 
 ある日のこと、僕の通学の様子が心配になったお袋、
学校からそっと、僕のうしろをつけて来たそうだ。
校門を出て、バスに乗るかと思いきや、ブルブルと傘を振り回し、
国鉄の線路沿いをダラダラ歩いて大井町駅へ向かう息子。
電車内でも落ち着きのない僕を見て、ハラハラしていたらしい。
乗換駅のK駅に到着。階段を上り、隣りのホームへ移る僕。
そして、乗車。イスに座ったと思ったら、発車時刻までの間も
吊り革に傘はぶら下がるは、車内の鉄の柱を片手で掴み、
ぐるぐると回転するはと一向に落ち着かない。
果ては再びホームへ飛び出し走り回るという傍若無人ぶりに、
さすがのお袋が声を上げた!

「さとしクンっ!!!」

  「!!・・・。」

 その場で僕は、縮み上がっていたそうだ。

 あの時のお袋の声、今もコダマしている。
 でも、そのあとの事は、なんにも憶えてないのだ。

 結局、懲りてない。

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PROFILE
HN:
ば く ( BAKU )
HP:
性別:
男性
自己紹介:
Man of middle age
Singer;Song writer;Guitar player
東京都出身・O型・魚座
1995年3月:音楽活動再開
【BAKUJIN】【Fu's all time】等
バンド活動多数。
加えて、現在も
【えにし】【りずみん】
【So-BAND】【SPUU】etc...

バンド活動であったり、
ギター弾き語りストであったり、
ウクレレ講師であったり、
サポートギタリストであったり。
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